けん引教習記

教習所の教習車 鴻巣試験場の試験車

 けん引免許を公認教習所で取得する場合、最低12時間の技能教習が必要です。課題は少なく、方向変換、S字、踏切通過、見通しの悪い交差点、指示速度ぐらいで、クランク、縦列駐車、坂道発進などはありません。 

 1〜5時限が第一段階、6〜12時限が第二段階となっています。第一段階では外周走行、右折、左折、S字、直線バック、幅寄せなどを練習し、第二段階は方向変換の練習が主でした。

第一段階

 最初の時間の教官に「大型二種を持っているんですか。けん引二種も受けるんですか?」と聞かれ、「時間があったら取りたいと思います」と答えると、「試験場の車両はトラクターが30cm長く、トレーラーも30cm長くなっています。全体では60cm長くなっています」と教えてくれました。
 最初の教習のときは、教習車のクラッチが不調で、しばしば切れなくなり、ギヤが入りづらくなりました。停止状態から2速に入れることができなくて、教官からも「1速で発進してください」と言われ、力ずくで1速にいれて発進していました。走行してからもかなり力を入れないとシフトできないような状態でした。
 左折は教習所のコースでは全部3Rでした。曲がる道の縁石が背もたれを越えたあたりでハンドルを切るとちょうどよいようでした。
 走行した感覚はトラックと同じですが、外周内側のカーブや左折ではトレーラーの後輪が縁石に近づきすぎ、ときどき接輪してしまいました。最初の時間からS字もやりましたが、初めの1回だけ左折進入時にトレーラーの左後輪を接輪させた以外は、その後は失敗することはありませんでした。最初に接輪させたとき、進入で左に寄りすぎてしまったのですが、教官から「二種じゃないんだからそんなに寄らなくてもいいです」と言われました。
 S字に入ってからは、トラックと同じで左カーブでは右足が縁石上を通るように誘導し、右カーブではアンダーミラーでバンパーの左先端と縁石を沿わせていけば通過できます。
 S字の脱出は右折でしたが、初めは大型二種のように一旦ハンドルを戻して前に出てから右折していたのですが、何度目かの教習のときに教官から「ハンドルは戻さなくていいです」と言われました。場所によって若干作法が違うのでしょう。また、S字は初めは2速で通過していたのですが、これも「3速で構わないです」と言われました。

 第一段階の最後の時間からバックが入ってきました。まず直線バック、それから左右の幅寄せを練習し、最後に1回だけ方向変換をやって第一段階を終えました。

第二段階

 第二段階になると、方向変換の練習の連続です。埼玉県では一種の場合は右バックのみです。方向変換をやってコースを回ってきてまた方向変換、という練習の繰り返しになります。コースを回っているときに、そのときによってS字が追加されたり踏切通過をしたりします。
 方向変換は、最初にやったときはけっこううまくできたのですが、それ以降はけっこう苦戦しました。初めのうちは立て直しが遅くて、トレーラーが反対側に曲がってしまうことが多くありました。何とかまっすぐになるようになってきても、次の時間になるとまた曲がってしまったり、角度が足りなくてコースの左端に入ってしまったりしました。
 最後の時間は実際の検定コースを練習しました。

方向変換について

 けん引免許で一番重要なのは何と言っても方向変換でしょう。教官によって教え方は少しずつ違いましたが、私が一番わかりやすかったのは次のようなやり方です。
 方向変換プロセスを1/3ずつに分け、初めの1/3で角度をつけ、次の1/3で角度を維持し、最後の1/3で立て直すというやり方です。
 まず、トレーラー後輪を縁石の角から20〜30cmのところを通るように調整します。インターネットで「けん引免許」を検索すると、このアプローチの部分をマニュアル化した説明(ハンドルを反対に半回転切って戻して・・・など)が見つかりますが、私にはこれはわかりにくかったです。やはり実際に動かしながら少しずつ調整していくのがわかりやすかったです。つまり、ハンドルを反対(左)に少し切って様子を見て、また少し切って、縁石角に近づくのが早すぎると思ったら戻して、ちょうどいい位置に誘導できそうな軌跡だったら少し大きくハンドルを切って一気に角度をつけていくというような具合です。
 さて、トラクターとトレーラーの角度ですが、この角度が浅いと入ったときにコースの左に寄ってしまいます。逆に角度がつきすぎてしまうと修正は不可能ですので、一旦前に出るしかありません。この角度は、右サイドミラーにトラクター左後輪が映るぐらいです。後輪が全部見えてしまうと少し角度がつき過ぎです。車輪の2/3程度を目安にします。窓から顔を出して後輪を見た場合、私の場合、角度がつきすぎてしまうことが多かったので、こまめにサイドミラーで確認しました。
 このような角度がついたらそれを維持するようにハンドルを調整します。角度を維持するためには思ったより大きく右にハンドルを切ります。全切り状態まで1/4〜半回転ぐらいです。そして最後に右に全切りしてトラクターを立て直します。ほぼコース内に収まったら、コースと平行かつトラクターとトレーラーがまっすぐになるように微調整します。
 まっすぐになる目安は、教習車の場合、荷台が板張りだったので、その板の切れ目とドアのアクセサリーがまっすぐになるように、また後窓枠とトレーラー前端が平行になるようにしていました。しかし、これは車が変わると使えません。
 先日1回けん引二種を鴻巣試験場で受けてきましたが(不合格)、鴻巣の場合、トレーラー前部両サイドの反射鏡を目安にするといいそうです。私の場合、右の反射鏡は全部、左の反射鏡は半分ぐらいサイドミラーで見える位置がまっすぐでした。

同時教習について

 繰り返しになりますが、教習所の内規ではできないことになっている大特との同時教習を受けることができました。けん引の教習予約は初めは週に3回入れていたのですが、それが2回になり、とうとう最後の2時間の予約をする段階になって1週間あいてしまうことになりました。それから検定を受けて・・・ということをしていると、大特に通えなくなってしまう恐れがありました。そこで何とかあいた1週間を活用できないかと、教習所に相談し、特別に許可してもらいました。
 1週間大特に乗った後は、やはり少しけん引の感覚が戻るのに時間がかかりましたが、コースを1周するうちには感覚が戻りました。

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