Nostalgic Hero(ノスタルジックヒーロー)
1991年10月号 vol.27
私のコロナと同型(正確にはマイナーチェンジ後なので1つ後の型になりますが)の車が掲載された本です。ノスタルジックヒーロー誌には、多数の旧車が掲載されていますが、80系コロナはこの号のみです。
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特集 十月の名車風景 AUTUMN CLASSIC
SCENE
新世代のシルエット。 CORONA
1700SL●コロナ1700SL
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トヨタは'70年2月、コロナをフルモデルチェンジして発表した。5年ぶりの新型コロナで、コロナとしてはボディ別で4世代目のモデルで、エンジン変更を含むモデルチェンジで見ると5代目のモデルとなる。
初期のモデルはセダンのみで、エンジンは1500cc(RT80型)と1600cc(RT82型)の2種類で、基本車型は14種類、バリエーションは54種を数えた。
サイドビューは三角窓がなくて、すっきりしてデザインとなっており、ボディサイド後方にZ字型のプレス(サンダーウェイブとトヨタは呼んだ)がポイントであった。このスタイリングは「シルエット'70(セブンティ)」と呼ばれた。
セダン型の寸法は全長が4170mm、ホイールベース2430mm、全幅1570mm、全高1400mm、1500cc型の車重は930kg。1700セダンも寸法は同じで、車重は950kg(3速MTコラム)である。
'70年8月には、2ドアハードトップが追加された。コロナのハードトップ型は、1世代前のモデルで日本車初のハードトップとして世に出たのであるが、この新型にも2ドアハードトップが加えられたわけである。
ハードトップのサイドウインドーは後方がV字型となっており、なかなか個性的なルックスであった。定員は5名で、リアシートは折りたたんで大きい荷物を積めるほか、トランクスルーとすることができるのが新しかった。エンジンは1500ccと1700ccの2本立てである。
'70年の9月、セダンにも1700ccエンジンを載せたタイプが発売された。1600cc型に代わるモデルで、デラックスとスポーティなSに設定された。1707ccエンジンはSOHCで、おとなしい6Rユニットは8.5の圧縮比で、95ps/5500rpmの最高出力と14.0kg-m/3800rpmの最大トルクを発生し、160km/hの最高速度を公称した。このユニットはデラックスに載せられた。
6R-Bエンジンはハイパワー型で、9.5に高められた圧縮比とツインSUキャブレターによって、105ps/6000rpmの最高出力と14.5kg-m/4000rpmの最大トルクを発揮し、最高速度170km/hが可能であった。このエンジンはS用である。
新型コロナは、高速性能を向上させて登場した。すでに名神高速道路は'64年9月に小牧〜西宮間で全通し、中央高速は調布〜小牧間が全線開通し、日本も高速道路時代に入ることを踏まえての性格づけであった。そして1700ccエンジンの導入は、高速性能にさらに余裕を与えることを狙いとしていた。
'70年10月の、第17回東京モーターショー時点における、コロナの主要モデルの価格(東京店頭渡し)は、次のとおりである。セダンシリーズ―1500デラックス・3速MTコラム(RT80-D)=59万2000円、1500スタンダード・3速MTコラム(RT80)=52万2000円、1700デラックス・3速MTコラム(RT84-D)=64万7000円。ハードトップシリーズ―1500・4速MTフロア(RT91-K)=65万2000円、1700・4速MTフロア(RT94-KX)=69万2000円、1700SL・4速MTフロア(RT94-S)=76万8000円。
セダンの1700デラックスはコロナシリーズのうちでATを含み最も運転タイプを多くそろえる中心モデルであった。ブレーキはフロントがディスクで、リアはドラム。タイヤは5.60-13-4PR(バイアス)が標準である。RT80/84/90/94系コロナは、'71年2月に12R・1587ccエンジンに換装され、3月にはハードトップに1900SLが追加された。
(1)ボディ後方には微妙なプレスラインが加えられるなど、凝ったデザインが施されている。
(2)ハイパワー型の6R-B型直4・1707cc・SOHCエンジンを搭載。最高出力は105ps/6000rpmを発揮。
(3)インパネにはタコメーター、スピードメーター、集合メーターの丸型3連メーターが並ぶ。シフトは4速で、シートもオリジナル。
(4)丸目のデュアル・ヘッドランプが美しいメッキモールで囲まれる。
(5)三角窓をなくしてサイドビューはスッキリとした感じになった。
OWNER'S DATA
川瀬道則さん
(32歳・岐阜県土岐郡) このコロナは川瀬さんのお父さんが新車で買った車で、川瀬さんは'78年に免許を取って以来、ずっと乗り続けている。「本当はレビンがほしかったんですが、親父に『しばらくこれに乗っとれ』といわれたんです。当時マークIIのGSSなんかがもてはやされ、この車はあまり人気がなかったですね」
19年間ずっと車庫に保管していたため、ボディの程度は良い。塗装は当時のままだが、十分きれいだ。シートの破れもなく、ドアの内張りはまだビニールが被っている。最近デフの調子がややおかしいが、それ以外直すところはない。
現在走行距離8万km。3年前に奥さんと乗鞍岳にドライブに行ったことがある。真夏だったせいか途中までしか登らなかったという。
「今ではこの車はほとんど見なくなりました。2年ぐらい前に1度だけ同型の青いコロナを近所で見かけました。あっと思って追いかけたけど捕まんなかった」
気に入っているのはエンジンの音だ。キャブはツインだし、低音の響きがいいという。
川瀬さんはこのコロナのほかにキャラバンとミラも持っており、キャラバンは商売用、ミラは日常の足として使っている。旧車としての価値に目覚め、雨の日にはコロナに乗らない。
もう一台旧車に乗るとしたら、1代前のツインカムを搭載したトヨタ1600GT-5がカッコ良くていいという。
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■コロナ1700SL(RT84型)
'72年式 ●全長4195mm●全幅1570mm●全高1400mm●ホイールベース2430mm●トレッド前/後1300/1280mm●最低地上高175mm●室内長1750mm●室内幅1320mm●室内高1125mm●車両重量970kg●乗車定員5名●最高速度170km/h●登坂能力tanθ0.57●最小回転半径4.8m●エンジン型式6R-B型●エンジン種類水冷直列4気筒SOHC●総排気量1707cc●ボア×ストローク86.0×73.5mm●圧縮比9.5:1●最高出力105ps/6000rpm●最大トルク14.5kg-m/4000rpm●燃料タンク容量50l●変速比1速3.579/2速2.081/3速1.397/4速1.000/後退4.399●最終減速比3.900●サスペンション前/後ダブルウィッシュボーン・コイル独立/リジッド・リーフ●ブレーキ前ディスク/後リーディングトレーリング●タイヤ6.45-13-4PR
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(注)
オーナーの談話の中にある青いコロナは、同じ車を私も見ているかもしれません。昭和59年夏、当時愛知県に住んでいた私は、友人と養老の滝(飲み屋じゃない方)へ行きました。帰りに岐阜県内の焼肉食べ放題の店で食事をして、その駐車場から出ようとしていたとき、ブルーメタリックに白いストライプのRTが走り去って行きました。しばらく追走しましたが、私は別方向へ帰るため、右折してしまいました。川瀬さんも岐阜にお住まいということですので、この「青いコロナ」は同一のものではないかと思います。
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